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経絡体操 肺大腸経

経絡体操とは、自身で「経絡」を整える、ストレッチに似た体操です。

ストレッチとの一番の違いは、経絡体操は経絡(スジ)をしっかりとイメージすることです。

 

経絡体操の基本体操は、6種類です。(ここでは、任脈、督脈の体操は省く。)

この6種類の運動を行なったとき、スジがつれて動作が苦しいところが「経絡が歪んでいるところ」になります。

この「経絡が歪んでいるところ」を丁寧に伸ばすことで、経絡を整えることができます。

 

(経絡体操の注意点)
・経絡をしっかりとイメージする。
(経絡図を見て、伸ばす経絡を「さする」などしても良いかもしれません。)

・呼吸を止めず、無理をしない範囲で行なう。
・スジを伸ばした際、「脱力」をする。
・左右行なう。(肺大腸、心包三焦、肝胆の体操)

 

(参考文献)
増永静人著 「スジとツボの健康法」潮文社、 経絡指圧普及会編 「経絡体操」

経絡指圧は「気の流れを良くする」ことで、心身を整えていきます。

この「気の流れを良くする」やり方は、実は誰にでもできるものです。

 

例えば、お子さんや御家族の誰かが、気持ち悪くて吐きそうになったとします。

気持ち悪くて、吐きそうですので当然背中を丸めてうつむいています。

ここで、ほとんどの方は背中を優しくさすってあげます。

この行為が「気の流れを良くする」やり方になります。

 

最近、通っていただいている患者さんで、自分で自身を指圧する方が増えています。

そのなかで最も多い失敗例をご紹介します。

患者さんのなかでも、経絡指圧を受けているうちに「ツボ」に対する感度が高まっている方が増えています。

これは素晴らしいことなんですが、見つけた「ツボ」をグリグリ痛めつけるように押している方が、多々見受けられます。

こうしていると「気の流れを良くする」どころか、逆に「気の流れを悪く」してしまいます。

 

 「気の流れ」は、気の足りないツボに手を置いておくだけでも良くなるものです。

「気の流れ」を良くするには、我を入れず、ツボを「押す」のではなく「圧す」ことがポイントです。

 生活の中の悪癖が経絡の歪みをつくります。

ただし、その悪癖より自身の自然治癒力がまさっている場合は、経絡の歪みは自然に解消されます。

 

 現代社会で生活していますと、経絡に負担をかけ、歪みをつくる原因は多々あります。

しかし、実は「経絡に負担をかける」こと自体は、たいして悪いものではありません。

悪いのは「経絡を歪ませ続けること」さらに「深く経絡を歪ませていくこと」です。

 

 例えば、緊張したり、神経を使い続けると、「腎経」に負担がかかります。

負担がかかっても、その後リラックスして神経を休ませることで「腎経」の負担はリセットされます。

しかし「腎経」が歪み不調になる人は、仕事などで緊張したり神経をつかった後、家に帰ったとします。

この様な人は、家に帰った後も、仕事などのことを考え神経を使い続けます。

ひどい場合は寝ているときでさえ、そのことを考え神経を使い続けているのです。

これが続くと当然「腎経」は歪み、力がなくなってしまいます。

 

 このように経絡を歪ませないための極意は「リセット」です。

「緊張したらリラックスする」「ストレスがたまったら発散する」「疲れたら休む」

当たり前のことですね。

「リセット」ができれば経絡の歪みが固定化されることはありません。

単純ですけど、とても効果的です。

是非お試しあれ。

 

 

 

経絡は全身を隈なく通っています。

もちろん頭にも隈なく通っています。

全身の経絡はつながっていますので、頭の経絡が滞ることで身体のどこにでも影響を与える可能性があります。

にもかかわらず足腰など下半身の治療には、頭の経絡は軽視する傾向がありました。

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先日、60代の女性が来院しました。

主訴は、「足腰がだるく力がはいらない。」とのことでした。

もう何年もそのような状態ですので、時間がかかってもしっかり治したいということです。

早速、下半身を中心に全身の虚(力のない)の経絡を整えていきました。

週1回のペースで数か月治療を続けると、足腰の経絡に力かついてきました。

そのうえ健康診断の数値も改善し、一石二鳥のはずでした。

 

しかし本人の自覚ではまだ「足腰がだるく力がはいらない」状態が続いているとのことです。

そこで脳の誤作動や機能不全を疑って、頭の経絡を丁寧に治療してみることにしました。

頭を圧すと「強い違和感」を感じるポイントが多々あります。

「特に強い違和感」を感じるポイントを中心に丁寧に治療していきました。

患者さんも痛かったり、頭に響いたりと感ずるものがあったようです。

 

一通りの治療が終わり、患者さんに立って頂くと明らかに立ち姿が違いました。

今までは「一生懸命立っている」という感じで、腰を落とし踏ん張って立っているようでした。

ところがこの時は、余分な部位に力が入らず、真っ直ぐに立っていたのです。

姿勢が良くなったので、ずいぶん背が高く見えました。

本人も「しばらく感じたことがない感覚で、とても楽。」とおっしゃっていました。

 

次週来院された際に聞くと「治療後1~2日は凄く楽だった。こんなに楽なのは何年振りかなぁ。」と喜んでいらっしゃいました。

その後治療を続け、頭の経絡のより深い歪みを整えることで、益々改善に向かっています。

現代のストレス社会では、頭の経絡が滞っている人は増加しています。

当然、「脳の誤作動、機能低下」による身体の不調も増加していくものだと考えられます。

頭の経絡を整えることは、これまで以上に重要になってくるはずです。

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整体院を営んでいますと様々な患者さんが来院します。

問診をした後、腹証をとり、心身の状況を確認して治療法を決定します。

疲れを癒したい方もいますが、切に不調の改善を願って来院する方が多数いらっしゃいます。

 

もちろん「何とかして不調を少しでも早く改善させてあげたい」と思います。

しかし、あえて「不調を改善するのは術者ではなく、患者さんの自然治癒力なんだ」と自分に言い聞かせて治療に向かうようにしています。

それは「自分(術者)が治してやろう」と思うと我が入り、結果が芳しくないことが多いからです。

そのうえ、治療後疲れたり、ぐったりすることも多くなる気がします。

逆に、患者さんの自然治癒力を高めるように誘導する施術を行うと、結果も良いようです。(患者さんの自然治癒力を喚起させれれば)

 

 患者さんの自然治癒力を高めるためには、「待ちの姿勢で施術すること」が重要です。

「治してやろう」と圧すのではなく、「圧しながら経絡の歪みが正されていくのを見守る」というイメージが近いかもしれません。

圧す深さ、持続時間も患者さんの自然治癒力を喚起するのに最適な深さ、持続時間が最も効果的になります。

経絡指圧を行なっていると、一度の治療で症状が劇的に改善する方もいれば、簡単には変わらない方もいます。

患者さんの経絡の歪みの大きさや深さにもよりますが、経絡指圧がどう反応するかは、個々によって大きく異なります。

今回は、一回の治療で治る「経絡の歪みが小さい方や浅い方」ではなく、何年(何十年)も経絡が滞ってできた深い歪みの方を取り上げてみます。

 

慢性疾患の方は特定の経絡に「深い歪み」があります。

更に慢性疾患の方は,その経絡を歪ませる悪い癖(ストレス、食毒、生活習慣)をもっています。

経絡指圧では、その特定の経絡の流れが整うように治療していきます。

そのなかでも慢性疾患の場合は、経絡の歪みが深いことが多いため、何回かに分けて経絡の流れを整え、歪みを整えていくことになります。

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  経絡の歪みを整えている途中で、患者さん自身が経絡を歪ませる悪い癖(ストレス、食毒、生活習慣病)を全く正すことをしなければ、思うようには経絡の歪みを整えることはできません。

経絡を歪ませる「不調のもと」を経絡指圧でとっても、それ以上に悪い癖(ストレス、食毒、生活習慣)で「不調のもと」を増やせばなかなか改善はしないということです。

逆に患者さん自身が悪い癖に気づき、その癖を正せば長年にわたる不調が劇的に改善することも多々あります。

 

 よって経絡指圧では、治療だけでなく「何が患者さんの経絡を歪ませているのか?」を考え、患者さんにヒントやアドバイスをすることが重要になるのです。

患者さんを上手に誘導して、悪い癖を自身で正していただくことが出来れば治療の効果も全く違うものになります。

そうゆう意味で「経絡指圧は、術者と患者さんとの共同作業」ともいえます。

 

 

 

 

 

経絡は休みを与えず、負担をかけ続けると弱り、滞ってしまいます。

今回は「どうしたら経絡の滞りを解消できるか?」を膀胱経を例にとって考えてみます。

 

 膀胱経は緊張したり、神経を使う際に働きが活発になります。

膀胱経を正常に保つためには、働かせた後はしっかり休ませる必要があります。

全ての経絡に言えることですが、働かせてばかりいて休ませないと弱ってしまいます。

 

 膀胱経は仕事や人間関係で緊張したり、神経を使い過ぎが続いた場合、働かせ過ぎのため、しっかり休ませないと回復しません。

膀胱経が滞る人は、仕事が終わった後もずっと「仕事のこと」や、「人間関係のこと」を考え神経を使い続ける傾向があるように感じられます。

この場合は、膀胱経は休まる暇がありません。

当然、膀胱経は弱ってしまいます。

この結果、膀胱経は滞り「不眠」「頻尿」「自律神経の不調」などが起きやすくなります。

 

この様にして弱った経絡を回復させるには、経絡を休ませる必要があります。

仕事や人間関係で神経を使い続けることで弱ってしまった場合は、これらのことを忘れリラックスする必要があります。

時間に追われ緊張が続いている場合は、時間を忘れリラックスする時間をつくる必要があります。

 

経絡治療をしていて感じることですが、膀胱経が弱り、滞っている人の多くは、無意識に膀胱経に負担をかけています。

無意識に膀胱経に負担をかけるクセを持っているともいえます。

膀胱経を休めるべき時に、このクセがでてしまうと回復どころか逆に弱ってしまいます。

よって、このクセに気づくことが、経絡の滞りを解消するうえで重要になります。

滞った経絡には、不調のもと(滞った気)が溜まっています。

この不調のもとがコリになり、心身の不調をつくる原因となっています。

経絡が滞ると、心身が不調になるのです。

 

では、なぜ経絡は滞るのでしょうか?

今回はわかりやすいように肝経を例にとって考えてみましょう。

 

健康で、肝経が正常に働いている人が、お酒を大量に飲んだとします。

この場合、肝経は通常より多く働きます。

更に、肝経に休みを与えず、毎晩大量にお酒を飲み続けるとします。

すると、個人差はあるものの確実に肝経は弱ってきます。

この状態で更に大量にお酒を飲み続ければ、肝経は正常に働かなくなってしまいます。

 

この場合は、「肝経を使い過ぎて休みを与えなかった結果、滞ってしまった。」といえます。

今回は、わかりやすいように例を「肝経とお酒」としましたが、「腎経とストレス」でも同じことが言えます。

どの経絡も休みを与えず負担をかけ続ければ、滞ってしまいます。

ケガは経絡(スジ)が弱っているところで起こります。

今まで当たり前に行ってきた動きでも、スジの力がないときはケガをします。

 

今回は、ケガを肉離れと仮定しましょう。

肉離れは、スポーツなどで筋肉(スジ)に急激に負荷がかかったときに起こると言われています。

しかし、今まで当たり前に行ってきた動きでも、スジの力がないときは肉離れを起こすのです。

肉離れを起こす前のスジの状態をみると、間違いなく力のない部分があり、そこに肉離れを起こします。

 

経絡指圧では、スジの力のない部分を虚と呼びます。

この虚の奥には、身体に悪さをするコリが潜んでいます。

このコリが深く、多い状態ほど肉離れを起こしやすいことになります。

 

経絡指圧では、このコリをとることを一番の目的としています。

このコリがとれると、その部分だけでなく、心身の全ての部分に影響が及びます。

実は経絡指圧では、痛みや病気などの不調は全てこのコリが原因であると考えているのです。