ホーム > 痛み

ケガは経絡(スジ)が弱っているところで起こります。

今まで当たり前に行ってきた動きでも、スジの力がないときはケガをします。

 

今回は、ケガを肉離れと仮定しましょう。

肉離れは、スポーツなどで筋肉(スジ)に急激に負荷がかかったときに起こると言われています。

しかし、今まで当たり前に行ってきた動きでも、スジの力がないときは肉離れを起こすのです。

肉離れを起こす前のスジの状態をみると、間違いなく力のない部分があり、そこに肉離れを起こします。

 

経絡指圧では、スジの力のない部分を虚と呼びます。

この虚の奥には、身体に悪さをするコリが潜んでいます。

このコリが深く、多い状態ほど肉離れを起こしやすいことになります。

 

経絡指圧では、このコリをとることを一番の目的としています。

このコリがとれると、その部分だけでなく、心身の全ての部分に影響が及びます。

実は経絡指圧では、痛みや病気などの不調は全てこのコリが原因であると考えているのです。

私事で恐縮ですが、先日はじめて「ぎっくり腰」を体験しました。

 

その日は、一月末の寒い日でした。

いつもと変わらず、午前中の診療を終え自宅に戻ろうとしたとき、買い物帰りの妻と二歳の娘が整体院に迎えに来ました。

いつもと同じように娘を抱き上げたとき、左の骨盤(仙腸関節の周辺)のスジが「グリグリ」と音をたてたように動くように感じました。

その瞬間、激しい痛みでしゃがみこんでしまいましいた。

全く動けないわけではありませんが、かなり痛みが強く、午後からの診療ができるか不安でした。

そして運が悪いことに、その日は昼休みに往診の予約までとっていたのです。

 

そこで妻と娘を先に帰し、自分の治療にとりかかることにしました。

証(どのスジが原因か)をとってみると小腸経でした。

あまり時間がなかったので患部周辺、お腹、大腿の小腸経を手早く圧し、骨盤(仙腸関節)の動き良くすると、いくらか動けるようになりました。

しかし、座っていて立ち上がろうとする際、腰が伸びるまで一分程度かかる有様で、とても治療が効いたとはいいがたい状態です。

しかも立ちあがる際「ウッ」を声が出るほど痛いのです。

それでもそれ以外の動きは「だましだまし」出来たのと、患者さんの前に立つと気が引き締まるからなのか、往診と午後の診療はきちんと行うことができました。

 

自宅に戻り、自分の研究も兼ねて本格的に治療にとりかかりることにしました。

自分の状態を客観的にみると、経絡の歪みはたいして深くないように感じました。

そこで、しっかりと経絡治療を行えば、劇的に改善するはずであると思い、証をとるところから再び始めました。

証はやはり小腸虚(全身を通っている小腸のスジに痛みの原因がある)でした。

繰り返し、患部周辺、お腹、大腿の小腸経を丁寧に圧したのち、整体院ではできなかった背中の小腸経を圧し始めました。

 

横向きの状態で、手が届く範囲で小腸経を圧していくと、ある一点で他とは明らかに違う「ズン」と響く感覚がありました。

その瞬間、「ココだ!」と確信めいたものを感じました。

その周辺を丁寧に圧していくと、患部に響きが起こり始め、痛みが「スー」と引いていくように感じられました。

ますます確信を得て、五分程度丁寧に圧したのち立ちあがってみると、患部周辺に若干の痛みは残っているものの、痛みは劇的に改善されています。

勿論、座った状態からスッと立ちあがることができるようになりました。

経絡指圧をきちんと行なえば症状は改善することが実感でき、うれしい気持ちと同時に「もう少し自分の身体で研究したかった」と少し残念な気持ちもありました。

 

その後2~3日で腰の違和感もなくなり、治癒しました。

その後は痛むことは全くないどころか、調子が良いくらいです。

今回、「柔道整復師(整体師)がぎっくり腰になるのはどうかな?」と思う反面、痛みの発生から治癒まで文字通り体験でき、生きた勉強ができたと思います。

そして経絡指圧の効果も実感でき、今後も益々精進する必要を感じました。

でも、あの痛みはつらいものですね。

患者様が来院した際、歩く姿勢などで身体のバランスを診ます。

「左右のどちらに傾いているか?」

「前後のどちらに体重が乗っているか?」

「身体は捻じれていないか?」などを診ていきます?

勿論、そのあと問診や触診(切診)などをして治療していきますが、最初の見立てはとても重要になってきます。

例えば、 「インナーマッスル(お腹)の過緊張が原因」の腰痛の方が来院したとします。

もし術者が、その見立てがなく背中や腰ばかり治療していると、前後(お腹と腰)のバランスが更に崩れてしまいます。(お腹の緊張UP、腰の緊張down)

そうなると腰痛は改善するどころか、逆に悪化していまいます。

見立てしないで治療を行なうと、このようなことが起こり得ます。

患者様の姿勢、身体のバランスを診て「この方はどこが原因で、どこに負担がかかっているのか」という見立てはとても重要です。

※この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も合わせてお読みください。
美しい姿勢

骨盤(仙腸関節)の動きの不調は、腰痛や脚のしびれを引き起こす原因になります。

数ある骨盤調整法の中でも、特に効果の高い施術法としてAKAがあります。

AKAとは医師の故博田節夫先生が開発した施術法です。

非常に繊細な技術と感覚を働かせ、骨盤(仙腸関節)をミリ単位で動かしていきます。

例えるなら、サビついた蝶番に油をさし、少しづつ動かしていく感覚です。

骨盤(仙腸関節)は左右約4cmの大きな関節ですので、細分化して施術していきます。

施術の際、力を入れすぎると関節は固まり、動いてくれません。

関節が動く方向も、関節(面)の形などにより、個人差があります。

それらを踏まえたうえで、関節をやさしく誘導していきます。

AKAを正確に行うことで、長年の腰痛が劇的に改善する方も多々いらっしゃいます。

体を動かす際、骨盤(仙腸関節)の動きは非常に重要です。

骨盤の動きが悪くなると、体中のあらゆる関節の動きに悪影響を及ぼします。

骨盤(仙腸関節)が引っかかって動かなくなった状態が「骨盤がズレている」ということです。

腰痛の方の多くが、この状態になっています。

骨盤のズレは、大きく2種類に分けることができます。

1種類目は、骨盤の動き自体は正常だったのが、何かの拍子に骨盤が引っかかった状態。

この場合は、骨盤調整を行うとすぐに良くなります。

2種類目は、骨盤の動き自体が悪くなっていて、引っかかっているのが当たり前になっている状態。

この場合は、骨盤調整を行っても簡単には良くなりません。

例えるなら、ドアの蝶番がサビついて動かなくなった状態です。

慢性痛の多くの方が、この状態になっています。

このタイプの方は、1種類目のタイプの方より治療が長引く傾向があります。

しかし、このタイプの方は骨盤の動きが改善すると、生活の質が劇的に向上することもあります。

※この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も合わせてお読みください。
腰痛と経絡

アメリカの医師であるサーノ博士は「痛みの原因は抑圧された感情である。すなわち、抑圧された感情が筋の異常収縮を引き起こしている。」と著書のなかで述べています。

実際、その理論に基づいたプログラムで多くの慢性痛の人々を救っています。

東洋医学の観点からみますと、痛みの原因は経絡の歪み(筋の異常収縮)が原因です。

ではなぜ経絡は歪むのでしょうか?

ストレス、食毒、悪い姿勢、冷え、その他の悪習慣によって経絡の歪みはおこります。

とりわけストレスは、経絡を歪ませる要因となっています。

東洋医学の観点からみても、心の問題が痛みに大きくかかわっているということです。

経絡は心身の全てに影響を与えています。

よって、経絡が整うことで痛みだけでなく、心の問題も改善することになります。

 

※この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も合わせてお読みください。
痛みの原因

今回は、痛みの原因を西洋医学の観点から考察します。

痛みの生理学者は次のように述べています。

「神経線維は末端にある受容器からの信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりすることはありません。」

すなわち、椎間板ヘルニアに代表される、神経圧迫による痛みは発生しないということです。

痛みの原因は筋の異常収縮です。

もう少し詳しく説明すると、

(筋が硬くなる。>>>血流が悪くなり、筋が酸欠を起こす。>>>発痛物質が発生する。)ということです。

理論上では、「筋をやわらかくして、血流をよくすれば痛みはなくなる」ということになります。